Dinnerコースの中の1品(器も)紹介です。
これは「鼎」という古代より食事だけではなく祭事にも用いられてきた形の器です。
店名である造語「tridor」のtriが「3」を意味する接頭語であり、鼎もまた「3」を意味する言葉であることから、「鼎をコースの中の器として作ろう」と思いました。
最初に釉薬を掛けて数種類焼いてみたのですがピンとこなくて、掻き落としで紋様を描いて素焼きのような仕上がりを目指すことにしました。
鼎が祭事の器という側面を持つことから紋様は「それっぽい」ものをと描き始めたのですが、どんどん線を足していってしまい最終的には幾何学模様に(凝り性がセンスを割り引く結果)。
料理は「アシアカ海老のメロッソ」で、コースの中では温前菜にあたります(メロッソはスペインのリゾット)。
器全体にツルムラサキのピュレや真鯛のスープを使ったサルサベルデを敷き、シャドークイーンのクリーム、イカ墨のオイルを合わせています。
お米には「和みリゾット」という「カルナローリ」に「ひとめぼれ」を掛け合わせたものを使用して、アシアカ海老やオマール海老から作った濃厚なスープで調理し、低温コンフィにしたアシアカ海老の身とシャドークイーンの澱粉チップをのせて仕上げています。
鼎の蓋を開けた時、器の中に「ひとつの世界」が広がっているように見えればいいな、と思って作った料理です。